研究の目的
地域社会の環境問題をめぐる複雑に錯綜する利害と意思決定の困難さを打開する糸口として、自然環境の科学的価値と社会的価値をつなぐ役割を持つ環境アイコンという魅力的な概念を検討します。アメリカ合衆国西海岸のコロンビア川流域におけるサケ科魚類を中心とした自然再生の事例は、地域の自然環境とそれにまつわる人々の文化や思いを象徴する環境アイコンが、多様な地域のステークホルダーによって活用されている世界的な成功事例です。
私たちは、サケ科魚類が環境アイコンとしての性質をもつようになったメカニズム、その生態学的な妥当性、サケ科魚類と地域文化とのかかわりなどの視点から、コロンビア川流域のさまざまな自然再生活動を分析し、環境問題の解決と地域社会の持続可能な発展のための、科学的にも社会的にも妥当な合意形成のプロセスを明らかにしたいと考えています。
(コロンビア川流域・オレゴン州ユマティラ川の支流。
豊かな水に恵まれ、サケ科魚類の生息場所を回復する活動が盛んに行われている。)
研究メンバー
佐藤 哲(総合地球環境学研究所)
清水万由子(総合地球環境学研究所)
ドン・サンプソン(Executive Director, CTUIR)
デヴィッド・ダンケル(Environmental Planner、米国陸軍工兵隊)
ジョン・マッキーン(Fish Passage Solutions LLC. 魚道技術専門家) |